怒涛の譜―加藤正夫精局集
08/26/2020 11:07:01, 本,
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内容(「BOOK」データベースより)昭和・平成碁界に確かな足跡を刻んだ棋士・加藤正夫。卒然と逝って一年、挫折と栄光に彩られた生涯1,920局から厳選の200局。その揺るぎない信念のバックボーンは超絶したかの破壊力。進化の過程を回顧、検証する本書は、愛棋家に遺した加藤の魂の譜である。
ファイル名 : 怒涛の譜-加藤正夫精局集.pdf
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1976年の坂田栄男『炎の譜』、1982年の藤沢秀行『飛天の譜』、そして2005年の暮れに、加藤正夫『怒濤の譜』である。この打碁集は木谷師との指導碁から始まる。長い雌伏の時を経てタイトル奪取、本因坊となりタイトル王へ。王道を歩み続け、棋院改革を進める理事長職にありながら、台風迫る犬吠埼の老舗「ぎょうけい館」で23年ぶりに復活した“本因坊剣正”。そして、結城聡の大石を撲殺した絶局まで全200局である。選局は、“古今棋譜の生き字引”高木祥一。加藤門下の大森泰志も全面協力で、主人公不在の打碁集制作を支えた。新刊打碁集で気になるのは、既刊との重複であろう。この『怒濤の譜』には、『現代花形棋士名局選』(全25局)から19局、『現代名勝負シリーズ』(全33局)から26局、そして生前最後の打碁集『攻めの構図、読みの力』(全30局)から15局が採られている。つまり、『怒濤の譜』全200局のうち、既刊の加藤正夫打碁集に未収録の棋譜は143局にものぼるのだ。また、“人と芸加藤を語る”と題するコラムでは、ゆかりの深い棋士9人(藤沢秀行、大竹英雄、石田芳夫、林海峯、武宮正樹、小林光一、羽根泰正、小川誠子、趙治勲)が加藤との思い出を棋譜とともにふりかえる(各2ページ)。構成・執筆は、−もうこの人しかあり得ない−若い頃から加藤を書き続けて、加藤の打碁集すべてをつくってきた秋山賢司である。一局一局、吟味されたイントロで対局者と“そのとき”を語り、巧みな譜分けと、加藤の肉声を的確に配した絶妙のつくりである。本格的な打碁集の執筆としては、『飛天の譜』に続く大仕事であった。深い藍色の布地の表紙に泉夫人の筆による題字のレリーフがあり、背は金文字という気品あふれる装幀は、加藤の純粋さを伝えて余りあるもの。これほどのあたたかな愛に包まれた打碁集をわたしは知らない。
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