金太郎の誕生 (遊学叢書)
08/04/2020 14:28:49, 本, 鳥居 フミ子
によって 鳥居 フミ子
4.6 5つ星のうち 1 人の読者
ファイルサイズ : 25.65 MB
内容(「BOOK」データベースより) 鉞かついだ金太郎…この物語はいつから始まったのだろうか。金太郎誕生の経緯を追う一冊。 内容(「MARC」データベースより) 童子の姿にさまざまな夢を託してきた江戸時代から現代にいたる庶民の心のありようを具現する「金太郎」。視覚的な文献を中心に、我々の祖先の求めたものが何であったのかを探りつつ、金太郎像誕生の経緯をあとづける試み。 商品の説明をすべて表示する
ファイル名 : 金太郎の誕生-遊学叢書.pdf
以下は、金太郎の誕生 (遊学叢書)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
金太郎というと子供の頃、絵本で親しんだキャラクターですが、その金太郎の成立過程について、古文献にあたり、25年にわたり丹念に研究してこられた成果を読みやすい啓蒙書としてだされたのが本書です。章だてを見てもらうのが一番内容がわかってよいと思い列挙します。坂田金時、古浄瑠璃のくわいど、『前太平記』の頼光金時説話、「嫗山姥」の快童丸、草双紙・絵本の快童丸、浮世絵の金太郎、豆本の金太郎、昔話・唱歌の金太郎、金太郎についての覚書、となっています。筆者の鳥居フミ子氏は、元東京女子大学教授、文学博士で、近世芸能史の研究者としての著作がある方で、長年の研究成果を踏まえての丹念な文献検索と資料に基づく考察は本書の学術価値の高さを証明しているようです。浄瑠璃や説話での金時伝説も興味をひきました。鳥居清長や喜多川歌麿の浮世絵に描かれている金太郎絵があることすら知りませんでした。それ以外に歌川豊国、葛飾北斎、歌川国芳なども画材として取り上げているほど江戸時代から庶民に親しまれていたのも興味を持って読みました。違う観点から興味を覚えたのは唱歌に歌われた金太郎のことでした。小学校唱歌で歌われたように、ある種の元気な男の子の代表のような性格付けも実は時代とともに変遷していたのが分かりました。特に唱歌が作成された明治30年代は、日清・日露戦争の間で、富国強兵の考えがここにも影響しているのを理解しました。知っているようで知らない金太郎をこれだけ究明し考察した類書はありません。学問的な価値を持ちながら、読みやすい記述ですので、お勧めできる内容だと思います。
0コメント