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歴史の哲学―現代の思想的状況 (講談社学術文庫)

07/02/2020 16:38:14, , 渡辺 二郎

によって 渡辺 二郎
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内容(「BOOK」データベースより) 現代は大きな歴史的転換期にある。定かには見通しえぬ未来へと進む私たちにとって、歴史とは何か?そして私たちは、いかに歴史と関わり、いかに歴史の中を生きるべきか?マルクス、ウェーバー、ディルタイ、ヤスパース等々、近現代の主要な歴史哲学をたどりつつあるべき歴史意識を問い直す。 著者について 1931年東京生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程博士課程単位修得退学。東京大学文学部助教授、同教授を経て、現在放送大学教授。東京大学名誉教授。文学博士。主著に『ニヒリズム』『内面性の現象学』『構造と解釈』『芸術の哲学』『哲学入門』『人生の哲学』『美と詩の哲学』などがある。
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全十五章であるのは著者の『構造と解釈』と同様であるが、これが放送大学で実際に講義されたかどうか私は知らない。『構造と解釈』は実際に講義映像があり講義録と云うか講義用のテキストであったが、その形式を踏まえている事は明白である。同様に他にも『芸術の哲学』、『人生の哲学』、『美と詩の哲学』が講義映像としてあれば、再放送やDVD媒体で提供するようにしてほしいものである。さて、本書の内容は副題に「現代の思想的状況」とあって意外にアクティブではあるものの、正攻法の硬派な哲学読解であり著者の立場も明確に示されている。ヘーゲル、マルクスの「超越的歴史観」については明確に否定的であり、それに対抗する事から出てきた「内在的歴史観」即ちディルタイの精神科学、リッケルトの文化科学、そしてウェーバーの経験科学を新しい歴史哲学、歴史科学として一定の評価をしつつも不十分とするのである。そして、著者の立場であるニーチェに発しハイデガー、引いてはヤスパースにおいて熟成する「実存的歴史観」を称揚し結論としている。問題はしかし、歴史と云う事が神/悪魔の問題を扱わなくなった、と云うか神/悪魔の影響をあってないものとする事にしたデカルト・カント以降の正に「現代」に限ってどう哲学で扱われているか、に限られている事である。寧ろ、ニーチェは新しい歴史哲学を樹立しようとして悪霊との闘いに敗れ(ツヴァイク)、ハイデガーは神学を語る代わりに神/悪魔なる呼称の代わりに「存在」という用語を使ったのではないか(サルトル)、という事は勿論問われていない。解釈の循環を問うならば、実は現在と歴史、未来と歴史、つまりは実存と歴史の循環だけではなく実存と死者、そして神/悪魔なる他者の三者の循環としてでなければならないかもしれないからだ。

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